『冒険の書』を読んでも、まだ学校教育を捨てきれなかった¶
副題:AI時代だからこそ、基礎とアンラーニング
- author:
sion908
- date:
2026/06/26
- event:
ゆるっとIT分野 LT会
はじめに¶
ここでスライドは公開しています
(ちなみに自分のポートフォリオもここから飛べます)
お前誰よ¶
紫苑
Sion908 (ついった, GitHub, etc) [1]
生息地(長崎, ぐんまー)
長崎大学大学院工学研究科電気電子工学 修了
株式会社デザイニウム
webアプリケーション, 3DCG, 写真
高校教員免許(数学、工業)
NaITE, UE長崎, JAWS-UG長崎
株式会社デザイニウム¶
福島県会津若松市
MaaS,地域通貨を含む、都市OSの一端や、除雪クラウドなどのDX化などを行う
東京の拠点では、ARやXRも行っている
NaITE (長崎IT技術者会)¶
長崎になんらかの縁や関わり、興味があるIT技術者を中心とした技術コミュニティ
ソフトウェア品質技術やソフトウェア開発技術の話題を中心に活動
勉強会, もくもく会, QDG(Software Quality and Development Gathering), ToCセミナー
次回イベント: 2026.06.26(金) LT会 in リコーITソリューションズ
JAWS-UG 長崎¶
Amazon Web Services(AWS)のユーザーグループ
AWSに興味がある方、初心者からエキスパートまで幅広い層が集まるコミュニティ
基礎的な内容から実践的な活用まで、参加者同士で知見を共有
Discordサーバーで継続的な交流
次回イベント: 2026/07/15(水) BuilderCards Naight
UE長崎¶
Unreal Engineと3D表現に興味を持つ人たちの長崎発クリエイティブ・コミュニティ
「島を繋ぎ、長崎を一つのクリエイティブ・ギルドへ」
UEやメタバース of 3D表現の技術を使って、長崎の島々をつなぐ
Webサイト: https://ue-ngs.sion908.tech
次回イベント: 2026.06.27(土) もくもく会 in coto
今日話すこと¶
最近読んだ本
孫泰蔵『冒険の書 AI時代のアンラーニング』
『冒険の書』は、学校や勉強を問い直す本¶
本のざっくりした話¶
『冒険の書』は、学校や勉強を問い直す本¶
本の問い
なぜ学校に行くのか
なぜ勉強するのか
好きなことだけしてはいけないのか
AI時代に何を学ぶのか
読みながら思ったこと
問いの立て方は面白い
学校や能力主義を疑う姿勢もわかる
でも、そのまま飲み込めない
AIができるから、そこがいるのでは?
引っかかったところ¶
学校教育批判には乗り切れない¶
本書では、学校が秩序や服従を作る装置として語られる。
その指摘自体はわからなくもない
学校を神格化しすぎた面もあると思う
でも、学校教育をそこまで否定的には見られなかった
なぜ乗り切れないのか¶
子ども側
まだ何も知らない
娯楽が多い
自分から学びに向かえるとは限らない
大人側
自由な学びを支えるのは難しい
全員が優秀な教育者になれるわけではない
最初に何を渡すかは重い
自由に学べばいい、だけでは足りない気がした
基礎はやっぱり大事¶
四則演算は大事¶
本書では、基礎という考え方が学びを型にはめてしまう、という話が出てくる。
これは少しわかる。
AI時代は、必要なところから学ぶほうが速い
大学以降の学びも、目的から逆算する
全部を網羅してから進んでいたら追いつかない
でも。
それができるのは、基礎があるからではないか
AIが計算できるからこそ、四則演算の意味を理解する必要がある
型を知っているから崩せる¶
高校まで
範囲が決まっている
テストに出る
まずは全部やる
大学以降
目的が先にある
足りないところを学ぶ
必要に応じて掘る
高校までの勉強は、勉強の仕方の筋トレだったのかもしれない
AIが答えを出せるからこそ、問いを立てる力が必要
学力を保険として見ている¶
学歴や看板の効き方¶
会社員といいながら、個人事業主的に生きている感覚がある。
そういう働き方をしていると、高校や大学の看板がまだ後ろにあるように感じる。
この人は一定の負荷に耐えたはず
やるべきことをやれるはず
最低限の信用の足場になる
能力主義や学歴を、簡単に悪いものとは言えない
AIが何でもできる時代だからこそ、人間の信用が問われる
子どもに渡したくなるもの¶
たぶん自分は、子どもにこう思う。
天才ではないなら
誰でもやれば身につくはずの学力は持っていてほしい
難しいことに向き合う経験をしてほしい
面倒でも続ける経験をしてほしい
そのまま本書で批判される親になりそう
AIが答えをくれるからこそ、答えを探す経験が必要
ポジショントークでは、と思った¶
著者への違和感¶
「好きなことを探究する」
「世界は自ら変えられる」
言葉としては魅力的。
でも、読みながらずっと思っていた。
それを言える立場の人だからでは?
自由に外れるには資本がいる¶
外れても生きられる人
信用がある
人脈がある
失敗しても戻れる場所がある
自分で場を作れる
普通の人にとっての学校
最低限の道具を受け取る場所
読み書き、計算
面倒なことをやる経験
社会に出るための足場
だから、学校教育を批判する言葉には乗り切れなかった
でも、アンラーニングは必要¶
子どもではなく、大人の学びとして¶
ここから少し納得した。
本書の学び方は、義務教育の代わりではなく、 社会に出たあとに必要になる学びに近いのではないか。
基礎を身につける
社会に出る
現実にぶつかる
自分の問いが見えてくる
そこで学び直す
AIが答えを出せるからこそ、問いを問い直す必要がある
アンラーニングの受け取り方¶
自分にとってのアンラーニングは、
学校なんていらないと思うことではない
基礎教育を否定することでもない
学んできたものを絶対視しないこと
基礎を持った大人が、次に進むための学び方
捨てるというより、問い直す
AIができるから、人間がやるべきことを問い直す
AIができないこと¶
人間にしかできないこと¶
AIができることと、人間にしかできないこと。
AIができる
既知のパターン認識
大量の情報処理
答えの生成
効率化
人間にしかできない
問いを立てる
価値を判断する
文脈を理解する
偶然を意味に変える
AIが答えを出せるからこそ、問いを立てる人間がいる
セレンディピティも必要¶
偶然に出会う場¶
問い直すには、たぶんセレンディピティがいる。
素敵な偶然に出会う
予想外のものを発見する
普段会わない人に会う
自分の問いが更新される
ひとりで考えているだけだと、前提が変わりにくい
AIは予測できるが、偶然は予測できない
だからイベントをやりたい¶
NaITEのようなLT会は、整理しきれていない話を出せる場でいい。
今回のイベント説明にも、 「整理しきれていない話くらいがちょうどいい」とある。
小さな発見を話す
他の人にとっての当たり前を聞く
自分の当たり前が少しズレる
そこから次の問いが生まれる
長崎でもやれる¶
隔離された地でも¶
長崎は、地理的には少し隔離されている。
東京や福岡のように、毎日のように大きな技術イベントがあるわけではない。
でも、だからこそ場を作る意味がある。
外の情報を待つだけではなく
自分たちで持ち寄る
小さい発見を共有する
偶然に出会う確率を上げる
締め¶
やり続けたい理由¶
『冒険の書』を読んで、学校教育への違和感は残った。
でも、大人が自分の頭で考えて、問い直すことにはかなり同意している。
アンラーニングが必要
セレンディピティも必要
そのためには、人が集まる場が必要
AIができるからこそ、基礎とアンラーニングの両方が必要
だから、長崎でもイベントをやり続けたい
おわり¶
ありがとうございました
最近読んだ本
小さな発見
整理しきれていない違和感
そういう話を、また聞かせてください。